体をいじめ抜いた神野大地に変化が。「まるでケニア人のような走り」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 シンプルだがスローな動きゆえに恐ろしく負荷がかかる。神野が"覚悟"してくるという理由がよくわかった。

 中野が言う。

「神野はつらかったと思います。あんな声を出して苦しむのはなかなかないのでね。でも、これを続けていかないといけない。今日のトレーニングはハーフマラソンを走ったぐらいの負荷がかかっているんですが、それを毎週やっていけるようにしたいんです」

 毎週ハーフマラソン程度の負荷をかける? 驚いたが、それには理由があるのだという。

「本当は川内(優輝)選手のように毎週どこかの大会で走るぐらいにならないと、マラソンは強くならないと私は思っています。神野も同じようにさせたいけど、今それをすると壊れてしまう。神野は川内選手よりも身長も体重も少ないし、骨格が太いわけでもない。しかも筋肉がつきにくい体質だからです。毎週、距離を踏めないので今回のようにハーフマラソンを全力で走ったぐらいの負荷がかかるトレーニングをしていく必要があるんです。

 それを重ねて、次は毎週フルマラソンを走るぐらいのトレーニングをして、最後は毎週50kmを走るぐらいの負荷のかかるトレーニングをしていく。そうしてフルマラソンを走り、さらに20kmぐらい走れる体にできれば、3年後にケニアをはじめ外国人勢に対して仕掛けられて、メダルを獲ることが可能になってきます」

 この厳しいトレーニングは、まだ最初の山の1クールが終わったに過ぎない。中野は2020年までに3つの山をクリアさせたいというが、現在はいったい、どのレベルなのだろうか。

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