【月報・青学陸上部】「箱根3区を狙う」春の成長株、橋詰大慧という男 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだが、2年生だった昨年は「さっぱりでした」という状態だった。それまでケガが多く、昨年の夏の選抜合宿には入っていたが、出雲、全日本のエントリーリストに入ることはできなかった。それでも箱根選考前の1万mは自己ベストを更新し、選抜合宿のメンバーに入り、わずかなチャンスに賭けた。しかし、左足がシンスプリント(過労性骨膜炎)になって練習ができなくなり、箱根は断念せざるを得なかったのだ。

「調子が上がってきていただけに悔しかったです。それからちょっと腐ってしまって......。1年の時の神野(大地)さん、昨年は一色(恭志)さんとか強い選手がいるこのチームで、本当に自分がやっていけるのかと思って。その不安がレースに影響して、タイムも結果も出ない。さらに故障で練習も思い通り走れないことが続いたので......」

 不安と故障で思うように走れないことが、橋詰の気持ちを追い込んでいった主因だが、同学年の選手の成長も精神的なプレッシャーになっていった。

 橋詰の学年(現3年生)は、青学の「黄金世代」ともいえる実力者揃いだ。

 今年の箱根1区を走った梶谷瑠哉、4区の森田、6区を下った小野田勇次、さらに昨年の夏の選抜合宿には富田浩之、林奎介、山田滉介も入っていた。うかうかしているとどんどん置いていかれてしまう怖さもあっただろう。

 だが、今年に入り、橋詰の意識を変えるふたつの出来事があった。

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