【月報・青学陸上部】苦しんだ下田裕太は『君の名は。』に学んで走る (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Aflo


「あ~、最悪だぁ」

 汗に濡れたユニフォームを着替えながら、下田はつぶやいた。

 7月、夏合宿前の最後となる世田谷記録会があったが、下田は転んで、ひざを打撲して出走を回避した。結局、それまでにイメージするフォームを具現化できなかった。

「自分が情けない。夏合宿で今までの遅れをとり戻すしかないです。もう、やるしかないんで」。下田は、自分に言い聞かせるように言った。

 だが、実はこの頃、下田はコアトレーニングに取り組んでいた。

「フィジカルトレーナーの中野ジェームスさんに診てもらうと、いいフォームで走るためのコアが足りてないと言われて、6月から7月頭まで集中的にコアトレーニングをやったんです。それでだいぶよくなりました」

 夏季の御嶽選抜合宿ではフォームが固まり、すべての練習メニューをこなした。体のケアにも人一倍注意し、クールダウンが終わった後は宿舎近くの小川に入り、天然の冷水でほてった筋肉を冷やした。

 9月の妙高選抜合宿では、コアを入れて走るということが自然とできるようになった。逆にちょっとコアが入りにくい時は肛門を締める感じで30kmを走った。

「肛門を締めたまま走ると腹横筋に力が入るんです。腹横筋に力が入ると楽に走れるんですよ。この頃はフォームが安定し、調子もかなりよくなりました」

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