2016.08.21

4×100m銀メダル。偉業の裏には
積み上げてきた挑戦の歴史がある

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 リオデジャネイロ五輪陸上競技8日目の8月19日は、日本が世界を驚かせた日になった。男子4×100mリレー決勝で100m9秒台や200m19秒台の選手がひとりもいない日本チームが、3走から4走の受け渡しではジャマイカを抑えて先頭に立ち、最後はウサイン・ボルトに突き放されたものの、アメリカを抑えて2位で銀メダルを獲得した(後にアメリカは失格)。

短距離で日本勢が勝負できることを、リオ五輪の舞台で銀メダルを獲得し証明した 記録は前日の予選で出したアジア記録を0秒08更新する37秒60。世界歴代国別最高記録でジャマイカとアメリカに次ぐ3位という、価値のあるものだった。

 その快挙の伏線は、前日の予選から張られていた。最初の第1組で中国が、アジア記録を更新する37秒82を出してアメリカに次ぐ2位になり、世界選手権2位の実力を見せつけた。だが第2組の日本は、その記録を意識することなく、ボルトを欠くジャマイカを抑えて1位になり、これまでの日本記録を0秒35更新する37秒68を出して、すぐさまアジア記録を奪取した。

 日本陸連の伊東浩司強化副委員長は「中国は予選でアジア記録を出したときに大喜びをしていたが、日本チームはその記録を塗り替えても冷静で平然としていた。そんな姿の違いに頼もしさを感じた」と言う。

 伊東氏が感じたように、選手たちの意識は高かった。山縣亮太は「メダルを獲るというのが目標でしたが、37秒60くらいを出さなければメダルには届かないと思っていたので、そのタイムを目標にしていました」と言い切る。