伝説のシューズ職人・三村仁司「左右のサイズの違いに注目して」 (5ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 杉原照夫●写真 photo by Sugihara Teruo

「障害を持っている人たちや、高齢者のための靴づくりも頼まれたらやっていきたいし、やらなければいけない責任や使命感はありますね。ただ、私は基本的にはスポーツをする選手に強くなってほしいし、記録を出してほしい。

 その姿を見て多くの人が感動してくれたらいいと思うから、それを支えるような靴を作っていくことが目標ですね。素材メーカーには今以上にいい素材を開発してもらい、自分もそれを組み合わせてより良い理想の靴を作りたいと思っています」

 三村が考える理想のシューズは、レース用だけに限られるわけではない。

「走るというのはレースだけではないんです。自分が満足できるような練習ができてこそ、それが試合の結果になる。だから、日々の練習が一番大事。まずは、(肉体的には)十分鍛錬できて、精神的には余裕を持てるような練習ができるような靴を作ってあげたいんです」

 選手たちの走りや動きを細かく測定し、気がついたことをアドバイスするのも、三村にとってはシューズ作りの一環だ。それは選手たちに満足する結果を出し、「スポーツをやっていてよかった」と思える競技生活を送ってもらいたいからこそ。それがシューズ職人、三村仁司の思いである。

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