マラソン、男女ともにリオ五輪でのメダル獲得は危機的状況 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • フォート・キシモト●写真 photo by PHOTO KISHIMOTO

 それに対し日本勢は、日本陸連の宗猛男子長距離マラソン部長が「レース前の予測では、今井正人(トヨタ自動車九州)の暑さへの適応能力の高さを考えると、8位以内入賞はあると思っていたので、彼の欠場は痛かった。今回、世界との力の差を実感させられるレースだった」と言うように、藤原が21位で前田が40位という惨敗に終わった。

 一方女子は、ケニアが一線級を出してないこともあり、曇りで涼しめの条件ながらも25kmまでは17分40~59秒台という超スローペースの展開になった。日本勢は集団の上位に位置し、時には先頭に立って集団を引っ張ることも。中でも重友梨佐(天満屋)は21kmから29km付近までトップに立ち、ペースアップをする雰囲気も見せた。だがペースは17分台中盤以降でさほど変わらず。重友本人も「給水のたびにペースが上下するのが得意ではないので、同じリズムを刻んでいこうと思っていた。そうしたら誰も前に出ないのでああいう形になった」と言うように、自ら仕掛けたわけではなかったという。

 そんな余裕を持ったレース展開ながら、34km手前でケニア勢がスパートすると、日本勢は一気に突き放された。そのまま前田彩里(ダイハツ)と重友はズルズルと後退。

「30km手前できつくなったが、北京入りしてからの試走は35kmからしかやらず、そこからの勝負しか考えていなかったので、まずはそこまで行こうとだけ考えていた」と言う伊藤舞(大塚製薬)が、粘り切って7位入賞を果たし、リオデジャネイロ五輪代表内定を勝ち取ったのが唯一の収穫だった。

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