2013.06.29

【陸上】初の海外レースへ挑む桐生祥秀へ、世界を知る男たちからの助言

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

代表の公開練習でもリラックスした表情を見せていた、桐生祥秀(右と)山縣亮太(左) 17歳が出した10秒01。その衝撃的な走りは、日本だけでなく世界の注目も集めた。その証が、国際陸連が2010年に新設した世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ・バーミンガム大会(6月30日)から桐生祥秀(洛南高校)に届いた招待状だ。

 桐生は「インターハイ京都予選や日本選手権が重なっていた時期に言われたので即答というわけではなかったけど、元々7月は試合に出ない予定だったので、6月30日ならちょうどいいから出場したいなと思って返事をしました」と微笑む。

 かつてのグランプリシリーズを含め、日本人高校生が招待されるのは異例のこと。それだけ世界も、10秒01を出した桐生に興味を持っているということだ。日本陸連の伊東浩司短距離部長も「私たちの頃はグランプリだったが、私も朝原宣治も出してもらえるかどうかというくらいでなかなか出られない大会だった。そういうアスリートにとってステイタスのある大会に、向こうから声がかかって出られるというのは夢のような話。ぜひ出てほしいと薦めた」という。

 初めて世界のトップレベルに挑戦する桐生は「タイムというよりは、自分の持ち味である前半から中盤の走りを、日本でやっているのと同じようにやるのがテーマ。今は世界のトップレベルの選手と走るのが楽しみです」と、淡々とした表情で語る。

 4月29日の織田記念を10秒01で走って一躍脚光を浴びた桐生だったが、彼にとって6月8日の日本選手権で山縣亮太(慶応大学)に敗れたという事実が、逆に心に余裕を持たせる要因になったはず。もしあそこで優勝していれば、”9秒台を狙う日本のエース”として期待を一身に背負わされる立場になっていただろう。桐生はこのとき「今回(日本選手権)は負けたので、気持ち的にも自分が一番じゃない。これから山縣選手を目標に頑張っていきたいと思います」と話し、身近に追いかける目標を持てたようだった。