2012.12.17

【陸上】17歳・土井杏南「陸上を第一に考えた生活をしている」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

「注目されることはうれしい」と語る土井。インタビュー中は、終始笑顔を絶やさなかった。世界に挑む女神たち Vol.7

「もう負けたくないと思った」
陸上への思いを熱くさせた"敗北"

 陸上短距離界で一躍ヒロインとなった土井杏南。身長158cm、体重50kgという華奢な彼女だが、2012年は2月の日本ジュニア室内から、11月のエコパトラックゲームズまで、60m、100m、200m、そして4×100mリレーと、トータル15大会で43レースに出走した。

 その間、4月の織田記念陸上100m(11秒50)、5月の埼玉県高校総体100m(11秒43)と、立て続けに高校記録を更新。6月の日本選手権100mでは日本記録保持者の福島千里に次いで2位でゴールし、そのまま4×100mリレーの日本女子代表メンバーに選出された。そして8月、16歳351日という日本陸上界戦後最年少記録でロンドン五輪に出場。まさに激動の1年を過ごしてきた。

 そんな土井が陸上競技を始めたのは、小学5年生のときだった。

「物心ついた頃から、走るのは得意でした。ただその頃は、陸上競技というものが存在することさえ知らなくて......。初めて知ったのは、小学4年生のときでした。小学5、6年生が出場する全国小学生陸上競技交流大会というのをたまたまテレビで見ていて、『私も来年は出てみたい』と思ったんです。それですぐ、父親に話をして陸上クラブに入れてもらいました」

 陸上クラブに通い始めると、「昔から、ひとりでコツコツやることが好き」という土井の才能は瞬(またた)く間に開花した。6年生のときには、見事に全国大会決勝まで進んだ。しかし、決勝ではわずか0.02秒差で2位に止まった。

「あのとき『もう負けたくない。一番速く走りたい』と思いました」

 その悔しさが、土井を強くした。中学生になると陸上への思いも一層高まって、朝霞第一中の陸上部エースとして活躍。毎年顧問の先生が変わる中、3年生のときには全国中学陸上100mで中学新記録(11秒61)を刻んで、全国的にも脚光を浴びることになった。

「顧問の先生が毎年変わって大変でしたけど、『自分自身でもっとがんばらなければいけない』と思いました。どうしたら速く走れるかを自分なりに研究して、練習メニューなどは自分で考えてやることも多かったんです」

 ある程度のベテラン選手ならともかく、中学生でありながら自分で練習メニューを考えてやっている選手は、稀(まれ)だ。そこが、彼女のすごいところでもある。