【マラソン】瀬古利彦が語る、ロンドン五輪マラソンの見どころ

  • 加藤康博●文 text by Kato
  • photo by AFLO

曲がり角が多いロンドンのコースは、藤原新をはじめとする日本人選手にとって有利に働くか?曲がり角が多いロンドンのコースは、藤原新をはじめとする日本人選手にとって有利に働くか? ロンドン五輪のマラソンは、8月5日に女子、12日に男子が行なわれる。まず注目すべきはコースだ。今回のロンドン五輪では初めて周回コースが採用される。およそ100カ所の曲がり角や、古く滑りやすい石畳によって構成されている。途中には3メートル程度までコース幅が狭まる場所もあり、コーナーの走り方や位置取りのテクニックも要求される難しい舞台だ。またペースメーカーがいないために、レースがどう動くかも予想しにくい。男女とも世界のマラソン界を席巻するアフリカ勢が、オリンピックでも猛威をふるうのか。それに対し、藤原新、山本亮、中本健太郎、重友梨佐、木崎良子、尾崎好美の日本勢はどう立ち向かっていくのか。過去、オリンピック3大会に出場した瀬古利彦氏に今大会の見どころを語ってもらった。

「今大会は男女とも中盤までは慎重なレース運びをすると思います。ペースメーカーがいない中、狭く、コーナーの多いコースで抜け出すことはリスクが大きいからです。それにスピードが上がれば、曲がり角で転倒する危険性がありますから、自然と落ち着いたペースになるはずです。そして中盤以降、一気にペースが上がり、そこから選手のふるい落としが始まるでしょう。男女ともポイントは25キロから30キロ。ここから本当の勝負が始まると私は見ています。
夏のマラソンとはいえ、ロンドンでは気温もそこまで上昇しないので、前回の北京五輪のようなサバイバルレースになる可能性も低い。波乱なく実力のある選手が実力通りに勝つのではないでしょうか。波乱があるとすれば、雨が降った場合。路面が滑りやすくなってさらにペースは落ちるでしょうし、蒸し暑くなることも考えられる。そうなれば日本勢にもチャンスが出てくると思います」

 男女とも優勝争いはアフリカ勢、特にケニア勢を中心に行なわれると予想される。ケニアは世界記録保持者のP・マカウが代表から外れたが、W・キプロチッチは世界歴代2位の記録を持ち、A・キルイは世界選手権2連勝中。女子も昨年、今年と続けて2時間20分を切っているM・ケイタニー、2011年世界選手権優勝のE・キプラガトがいる。

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