日本が誇る世界初の新型スポーツ用義足。
パラアスリートと世界に挑む (4ページ目)
「お互いにアイデアを出し合いながら、いいものを作り出すのは楽しいし、やりがいがある」と語るミズノ研究開発部の宮田美文氏と浜田氏。共同プロジェクトが成功している背景には、ミズノと今仙技術研究所に共通した思いがあるからだ。
今回、新型スポーツ用義足について語ってくれたミズノの宮田美文氏(左)と今仙技術研究所の浜田篤至氏(右)「『国産だといいですね』とか『国内メーカーとしてどうですか?』という質問をよく受けるのですが、高性能な製品を作ろうとしているのは海外メーカーも同じ。ただ一番の違いは、日本人同士だからこそのきめ細やかなコミュニケーションができるということ。日本人ならではの感性も理解しやすいからこそ、選手に最適なものを提供することができる。それが我々国産メーカーの利点でもあり、使命だと思っています」
そして、もうひとつの思いを2人はこう語る。
「トップアスリートだけに提供するものではなく、トップアスリート用に開発するうえで得られる技術を、たとえばこれから走りたいと思っている障がいのある人たち向けに活かしていきたいと思っています。もちろん東京パラリンピックで国産の板バネを使ってもらえたらうれしいですよね。でも、本来の狙いはそこではありません。東京パラリンピックを見て『自分もこんなふうになりたい』と子どもたちが憧れを抱いた時に、国産で手の届くスポーツ用義足があれば、その夢を後押しすることができる」(浜田氏)
「スポーツ品に限らず、将来的には高齢者が元気に歩いたり走れたりすることにも役立てられたらなと。私たちの技術や製品が、元気で明るい日本社会を作り出すモノになることが最大の狙いです」(宮田氏)
元気で明るい日本社会に寄与したい――そんな思いが込められたミズノと今仙技術研究所の"モノづくり"への挑戦は、これからも続く。
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