2019.11.11

絶対王者として東京へ。
佐藤友祈が世界パラ陸上400mで金メダル

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 2年に一度開催されるパラ陸上の世界選手権が11月7日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開幕した。大会には約120カ国・地域から1400選手がエントリーし、日本からは43選手が参加している。今大会は各種目4位以内に入った選手の国や地域に、東京パラリンピック出場枠が与えられる。日本選手の場合は、日本パラ陸上競技連盟の規定により代表候補に内定する重要な大会だ。
金メダルを獲得したことで、絶対王者として東京パラに臨む佐藤友祈 大会3日目を迎えた9日、400m男子T52(車いす)の決勝が行なわれ、リオパラリンピック銀メダルで、現世界記録保持者(55秒13)の佐藤友祈(GROP SINCERITE WORLD-AC)が、59 秒25で優勝を果たした。今大会日本人第1号となる金メダルを獲得し、東京パラ代表の内定も手にした。2位には1分00秒06で伊藤智也(バイエル薬品)、米国選手の失格による繰り上がりながらも4位に、上与那原寛和(うえよなばる ひろかず/SMBC日興証券)が入った。2人もまた、東京パラの内定を獲得した。

 佐藤は、「緊張したが、しっかり集中でき、ゾーンに入ることができた。久しぶりに『気持ちいい』と思えたレースだった」と笑顔で振り返った。

「気持ちよさ」の要因はレース展開だ。佐藤は7レーンから号砲とともに漕ぎだしたが、ロケットスタートを決めたのは内側5レーンの伊藤だった。北京、ロンドンのパラリンピックメダリストで、ロンドン大会後に一度引退したが、東京大会を前に昨年、現役復帰していた。

 伊藤は100mと200mでは今も日本記録を保持するスプリンター。スタートから力強い漕ぎで先頭を突っ走ったが、佐藤が第4コーナー終盤でとらえると、ホームストレート残り50mほどで鮮やかに抜き去り引き離した。

 56歳の大ベテランである伊藤について、佐藤は「メダリストなので、ポテンシャルは十分あると警戒していた」と言い、先行されて「けっこう焦った」と明かした一方、「最後は巻き返せる自信があったので落ち着いて対応できた」と振り返った。逆転での勝利に、「競り合ってゴールするのは、とてもエキサイティング」と充実の表情を浮かべた。