田中愛美の課題はグラグラの精神面。強気の先に東京パラが繋がっている

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

今シーズンの抱負などを笑顔で語ってくれた田中愛美今シーズンの抱負などを笑顔で語ってくれた田中愛美 車いすテニスプレーヤー・田中愛美(まなみ/ブリヂストンスポーツアリーナ)にとって、2018年は、世界に近づいた手ごたえを感じるシーズンとなった。

 そのことを田中が実感するのは、車いす世界テニスランキングで10位(12月17日づけ/以下同)まで上がり、初めて世界のトップ10入りしたことや、世界のトップ10選手との対戦から得た勝利だ。

「多少トーナメントによって調子はあるんですけど、昨年まで競らなかったトップ10の選手たち相手に競ることができようになった。

 5月のジャパンオープン(準々決勝)では、アニック(・ヴァンクート)選手(3位、オランダ)に勝ったり(6-0、6-4)、9月には(モントリオール大会決勝で)ルーシー・シュカー選手(5位、イギリス)に勝ったりすることができました(6-4、6-2)。他にもグランドスラムに出場している選手からセットを取ったり、ゲームが競るようになったので、全体的に見ると調子は悪くなかった1年間だったと思います」

「ランキング10位自体は、そんなに不満ではないです」と言う田中だが、少し残念に思うことがあるという。

「今年の目標は11位だったので、そこは突破できたんですけど、本当は、2019年の全豪からグランドスラムに出たかった。ITF(世界)ランキングの9~12位の選手のポイント差が僅差でひしめき合っているので、なかなか上がりづらくなっている。ちょっと取りこぼししているところはある感じがしますね」

 その言葉通り、田中のツアー転戦に帯同している岩野耕筰コーチも、世界のトッププレーヤーとの対戦で、勝てたはずの試合がいくつかあったと振り返る。

 3月のジョージア大会(アメリカ)のマルジョレイン・ブイス戦(8位、オランダ/6-4、0-6、0-6)や、7月のジュネーブ大会のクゴタツォ・モントジェン戦(6位、南アフリカ/7-5、6-7(4)、2-6)。11月バース大会のシュカー戦(3-6、6-3、6-7(4))と具体的な試合を挙げた。

 さらに、田中は「あれも勝てたと思う」と、5月のテグ大会のカタリナ・クルーガー戦(9位、ドイツ/ 4-6、7-6(0)、2-6 )、11月のプラハ大会のビクトリア・ルボバ戦(16位、ロシア/ 6-3、4-6、0-6)の2試合を付け加えた。

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