2018.12.15

一発屋の気分はもういらない。
パラ陸上、芦田創は新環境で進化を求める

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by Murakami Shogo、YUTAKA/AFLO SPORT(競技)

「この冬から、オーストラリアのシドニーに練習拠点を移します。普通のことだけやっていては、ダメだと思うので」

 10月8日、芦田創(はじむ/トヨタ自動車)は、インドネシア・ジャカルタで開かれていたアジアパラ競技大会の男子T47(上肢障害)走り幅跳び決勝で6m88を跳び銅メダルに輝いた。東京2020大会を見据え、走り幅跳びに本格的に取り組んでから、4年。初めて手にした国際大会でのメダルだった。

明確な目標と決意を持って海外へ拠点を移す芦田創選手 だが、試合後ミックスゾーンに戻ってきた芦田に笑顔はなかった。「上位2人の記録(7m53、7m10)を考えると、こういう大舞台で7m越えのジャンプができないのは話にならない」と反省を口にした。昨年3月にマークした自己ベストの7m15にも遠く及ばず、「満足感はない」と悔しさをにじませた。

 その日からほどなく、芦田は冒頭の決意を固めたという。金メダル獲得を目標に掲げる東京パラリンピックまで2年を切った今、環境を変えることの意味やその覚悟とは? 12月下旬に新天地に向け出発を控える芦田に、胸の内を聞いた。

 決断のきっかけは、2017年の3月に出した「7m15のジャンプ」だという。7m越えはずっと目標にしてきた記録であり、リオパラリンピックの銅メダル記録(7m11)も越える。「メダルを狙って勝負できるレベル。やっと世界基準になった」とうれしく、大きな自信になったジャンプだった。

 ところが、直後に踏切足の左足首を故障して以降は低迷し、最重視していた7月の世界選手権(ロンドン)も5位に終わる。7mジャンプの再現もできず、「一発屋の気分」を味わった。