2018.07.12

全豪×、全仏○、ウインブルドンは?
上地結衣、ライバルと最終決戦へ

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 上地結衣(エイベックス)がグランドスラムに参戦するようになってから、7年の年月が流れようとしている。

 明るい笑顔と折り目正しい態度が印象的な少女は、今や女王の貫禄漂う24歳へと成長した。2014年には、ダブルスで4大大会すべてを制する「年間グランドスラム」を達成。21歳135日での快挙は「車いすテニスの最年少記録」として、ギネスにも認定された。

上地結衣は全仏に続きウインブルドンも制することができるか そんな女子車いすテニス界の女王が、まだ唯一手にしていないタイトルが存在する。それが、2016年から正式種目となったウインブルドンのシングルスだ。

 11歳から車いすテニスを始め、14歳のときには国内のトップに君臨した上地の武器は、左腕から繰り出す多彩なショットと、巧みなチェア制御技術に依拠(いきょ)した機動力にある。17歳で世界を舞台に戦い始めたサウスポーは、その3年後にはグランドスラムを達成。世界ランキングも1位へと駆け上がり、押しも押されもせぬ絶対的な女王へと成長した。

 だが、わずか20歳にして追われる立場となった彼女には、厚い包囲網が敷かれるようになり始める。かつてない高度な戦略や技術をもたらした小柄な女王の存在は、周囲を奮い立たし、女子車いすテニス全体のレベルを引き上げもした。

 以前なら、女子選手はサーブが弱く、リターンからのアタックが効果的だったが、最近では高いフィジカルと技術を兼備し、サーブで主導権を掌握する選手も台頭する。それら、上地の背を追う馬群のなかから頭ひとつ抜け出したのが、昨年のウインブルドン・シングルス優勝者でもある、現世界1位ディード・デグルート(オランダ)だ。

 上地より3歳年少のデグルートは、鍛え上げた上半身から繰り出すスピンショットを左右巧みに打ち分けるアタッカー。上地とデグルートは2014年に初対戦し、以降約3年間は上地が圧倒したが、その力関係に変化が見え始めたのは昨年末のこと。今年1月の全豪オープン決勝も含め、上地はこの成長著しい挑戦者に3連敗を喫していた。