3強の壁を破ってメダルを。ウィルチェアーラグビーの挑戦 (3ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • 名古桂士●写真 photo by Keishi Nako/X-1

 日本代表は12人。チームはライン(コート上4人の選手の組み合わせ)の底上げをテーマに掲げており、若手の乗松聖矢(25歳・Okinawa Hurricanes)、2年ぶりの代表復帰となる佐藤佳人(34歳・BLAST)らがメンバーに選ばれた。「ファーストラインに匹敵するセカンドラインとサードラインを強化すれば、リオのメダルが見えてくる」と荻野。メダル獲得のカギを握るだろう、攻撃のバリエーションにも注目したい。

 選手個人にとってはリオに向けた代表選考のアピールの場でもある。ロンドンでは最終メンバー入りを逃した羽賀理之(30歳・AXE)は言う。「体格差がある相手でも互角に戦えるところを見てほしい。世界選手権などはサブメンバーだった。代表に定着できるようアピールする」。

 また、同大会は、2020年に向け、ウィルチェアーラグビーという競技を多くの人に知ってもらうための絶好の機会でもある。

「この競技の知名度はまだまだ低い。まずは知ってもらうところからだけど、今大会はメダルを狙える世界クラスのプレーを見てもらうチャンスになる。2020年には満員の会場でプレーしたいし、日本チームを後押ししてくれるファンを増やしたい」

 そう語るのは、日本代表のエース、池崎大輔(37歳・北海道BigDippers)だ。今から3年前、“史上最高の大会”と評価されるロンドンパラリンピックに出場した池崎は、アグレッシブなタックルで会場の視線を一身に集め、万雷の拍手を浴びた。ウィルチェアーラグビー会場のバスケットボールアリーナには連日1万人以上が詰めかけ、選手たちはその大歓声の中で戦ったのである。

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