2014.12.28

金メダリスト秋山里奈「私が東京パラに反対した理由」

  • 文●スポルティーバ text by Sportiva
  • 写真●五十嵐和博 photo by Igarashi Kazuhiro

盛りあげよう!東京パラリンピック2020(6)

ロンドンパラリンピック金メダリスト秋山里奈インタビュー Vol.3
2012年ロンドンパラの背泳ぎで金メダルを獲得した秋山里奈さんへのインタビュー第3回は、2020年の東京パラリンピックに向けて、パラリンピック出場経験者だからこそ感じる、これから東京に必要なことについて語ってもらった。(前回記事はこちら

東京パラリンピックに向けて、パラリンピック出場経験者として語ってくれた秋山里奈さん

伊藤数子さん(以下 伊藤) 2020年の東京オリンピック・パラリンピックが決まった後に、ネット上で秋山さんのインタビュー記事を拝見しました。実は招致には反対の立場ですということで、あれはなかなか勇気のあるコメントだったと思います。反対の理由を教えてください。

秋山里奈さん(以下 秋山) あまりにまだ準備ができてない。東京が立候補するのもおこがましいと私は思っていました。

伊藤 それぐらい、まだまだであるという現実が東京にはあるということですね。

秋山 そうですね。ロンドンパラリンピックを経験して、それが私にとって最高のパラリンピックになってしまったので、東京でやるんだったら、ロンドンと同じかそれ以上のものをやってもらいたいと思うと、まだまだだなと。パラリンピックの認知度はもちろんですけど、スポーツの楽しみ方とか観戦のマナーだったりとか、報道のされ方だったりが、まだ発展途上というか。個人的にはそういう気持ちがあったので、反対だったんです。

伊藤 その気持ちは今も変わらないですか?

秋山 東京に決まったからには恥ずかしくないオリンピック、パラリンピックをやってもらいたいと思っています。

伊藤 なるほど。アテネ、北京、ロンドンと、3大会出場してきたアスリートの目線で見てあと6年、大きく足りないもの、最大の不安はなんですか?

秋山 私は招致とかそんなに関わっていなかったので、的外れなことを言っちゃうかもしれないんですけど……。施設とか設備とかそういったものではなくて、特にパラリンピックの場合は、日本の人々が楽しみにしてくれるようなものであってほしいと思うんです。最近は結構テレビとかで取り上げてもらって、やっぱりアテネパラの時より北京パラ、北京パラよりロンドンパラってどんどん認知度が上がって、パラリンピックを楽しんでくれる人も増えてきたと思います。でも、やっぱり知り合いが出てるとか、会社の人が出てるとかじゃないと、あんまり興味がないと思うし、知る機会もないと思うんです。だから、とにかく会場に自ら足を運びたいって思ってくれる人がこの6年間で1人でも多くなってほしいです。

伊藤 アスリートとして感じるところはそこなんですね。

秋山 はい。一番はやっぱりロンドンパラで感じた、見ている人たちがパラリンピックを楽しんでくれていたっていうことなんです。雰囲気とか、声援とか。日本は、ちょっとバリアフリー化が足りないとか、そういった問題はあるんでしょうけど、たぶんイギリスと比べたら絶対に進んでるほうだと思います。エレベーターはたくさんついていますし、段差がないところも多くなってる。だから、むしろそういうところより人々の意識のほうに課題があるんじゃないかなと思うんです。