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女子ボートレーサー・守屋美穂の強さの源泉は自信のなさ? メモを取る理由、オッズを見ない意味も語る (3ページ目)

  • 杉田純●取材・文 text by Sugita Jun

誰もが一目置くレーサーのひとり photo by Ishikawa Takao誰もが一目置くレーサーのひとり photo by Ishikawa Takaoこの記事に関連する写真を見る

【自信がないから努力する】

 では、守屋の強さの源泉とはいったい何なのだろうか。

 自身の強みについては「ない」と即答する守屋だが、レースで心掛けていることを問われると、こんな答えが返ってきた。

「レースで心掛けていることは『冷静に』。勝ちたいとか、勝たなきゃみたいなことを思っていたら危ないレースになっちゃうし、視野も狭くなっちゃうのでフラットな状態で、冷静にレースに臨むようにしています」

 ボートレースは公営競技のため、舟券の販売中には各選手のオッズが表示され、それはピット内のモニターでも映し出される。当然、実力者である守屋はよく売れる部類だが、こうしたオッズも守屋はあえてあまり気にしないようにしている。

「気持ちを揺さぶられるのが嫌で見ないようにしています、フラットな状態でレースに臨みたいので。『勝たなきゃ!』ってなったら視野が狭くなっちゃうし、体が強張ってうまく動けなかったりするので。本当にフラットな気持ちとフラットな体でいいレースができたらなと思っています」

 ただ、「オッズを見ない」=「向き合っていない」ということではない。そこには守屋なりの乗り越え方がある。

 ボートレースは内側のコースが圧倒的に有利な競技だ。そのため、自身が最も内側に入れる1号艇のときは、勝利に最も近いポジションである反面、最も多くの人気を背負う立場でもある。

「1コースのときはスタートに集中するのと、(エンジンの)仕上げをちゃんとしなきゃいけないので調整をしっかり合わせなきゃいけないって気持ちで1日を過ごしています。優勝戦で1号艇のときはもっと緊張しますね。やっぱり優勝もしたいし、買ってくださる方もたくさんいるだろうし。調整も『これでいいのかな』って最後まで悩むことも多いです」

 守屋は自身に必要なことに集中し、課題を消してレースに臨んでいる。続けて彼女はこう語る。

「納得のいく調整ができて、スタートも行けて、その1日しっかり考えてやってきたことがレース内容に結びつく。それが結果にもつながれば、納得のいくいいレースだと思います」

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