カーリング女子日本代表・上野美優が振り返る「楽しかった」日本選手権と「つらかった」世界選手権 (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro

――いずれの試合も厳しいラストロックが残っていましたが、上野選手が正確なドローを決めて勝ちきった、というのが印象的でした。ご自身の調子はよかったのでしょうか。

「悪くはなかったと思います。どの試合も、自分が(ドローを)投げる道は残っていましたし、スイーパーが(狙った場所に)持っていってくれるという安心感があったので、それを信じて投げるだけでした。接戦が続いて、実際に決勝の最後(の1投)まで優勝できるかわかりませんでしたが、目の前のショットに集中して、終わってみたら優勝できていた、という感じです」

――日本選手権のあと、日本代表として挑んだ世界選手権の話も聞かせてください。結果は3勝9敗でラウンドロビン敗退(11位)という、悔しい成績に終わりました。

「日本選手権が"楽しい大会"だったとすると、世界選手権は"つらい大会"でした。初戦のニュージーランド戦はなんとか勝てましたが、その後のトルコ、デンマーク、韓国との対戦では、世界ランキング的には『勝たなければいけない』という意識を持ちすぎてしまった気がします。そこで負けが続いてしまって、日本選手権の時のように波に乗ることができませんでした」

――そうしたことを含めて、初めて挑戦した世界の大舞台での結果や課題などについて、どう受け止めましたか。

「アリーナアイスへの対応だったり、特に観客がたくさん入るカナダ開催の世界大会でのアイスの変化といった部分でのアイスリーディングの遅れ、という点で(他国との)差が出てしまったと感じます。"たられば"になってしまうのですが、もう1投、2投決まっていれば、勝ちも増えていたかもしれないのですが......。ただその分、"その1投"の難しさを知った大会でもありました。それも含めて、すべて"経験"なのかもしれません」

――日本選手権ではあんなに楽しそうに戦っていたチームから笑顔も減ってしまった、そんな印象も受けました。

「自分でも『顔に出ちゃってるな』と感じていました。(大会の)序盤はなんとか楽しくできていたのですが、徐々に余裕がなくなってしまい、それをコントロールすることもできませんでした。でもそうした状況にあっても、みんなと『今までの自分たちではやれなかったことをしてみよう』といった話もできました。もちろん、チームとして励まし合ったりもしましたけど、負けているとお互いに言いにくいことも出てきます。そんななか、特に(上野)結生なんかははっきりと思っていることを言ってくれるので、チームとしてちゃんと意見を出し合えて、もがくことができた世界選手権でもありました」

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