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コンプレックスだった「太い脚」「大きいお尻」が武器に変わった ガリガリ体型に憧れた小倉あれずがトップビキニ選手になるまで (3ページ目)

  • 武松佑季●取材・文 text by Takematsu Yuki
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【大会前減量の苦労と切り札】

ーーとはいえフィットネスアスリートは食事面もかなり制限しているイメージがあります。

 大会に向けての減量は本当に大変ですよ......。

ーー小倉さんの身長は156センチ。シーズンオフの体重は?

 オフは55キロです。食事は減量食を増やしたバージョンを1日4〜5食です。減量食は、たとえば、米100グラムと明太子、鶏むね肉100グラムに自作したフィナデニソースをかけたもの、それにMCTオイル7グラムとかですね。朝は鮭など魚の脂を摂ることが多いです。

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ーーオフでも減量食を増やしただけのものと考えると、年中、食に気を遣っている状態ですね。

 そうはいっても、オフの週末は好きなものを食べてますよ。お酒が大好きなので、今年のオフは週5で飲んでました。この前なんてテキーラを10杯も飲みましたよ(笑)。

 お酒は筋肉の合成を阻害すると言われてますが、そんなの気にしていたら楽しくないですからね。

 それで3月下旬から減量開始。初期は1日1800キロカロリーからスタートして、徐々に下げていき最終的に1200〜1400キロカロリーまで落とします。今は減量2カ月で4キロくらい落としていて、本番までにあと6キロほど絞る予定です。

ーーつまりオフは55キロ、大会直前には45キロになっていると。過酷な減量ですね。

 減量期はもの忘れが激しくなります。忘れものをして家に戻ったはずなのに、何を忘れたのかを思い出せなかったりして(笑)。

ーー"減量あるある"があるんですね。

 ほかにもいっぱいありますよ。歩くのが遅くなって目的地までなかなかたどりつかなかったり、お米100グラムが秤(はかり)なしでわかるようになったり。水を抜きすぎてトイレの水すら飲みたくなることだってあります。

 それでも摂取カロリーは基礎代謝より下げない。ちゃんと食べて元気にトレーニングすること。そして、大会1カ月前から最後の追い込み。その際に切り札をたくさん持っておくことが大事だと思ってます。

ーー切り札?

 たとえば、白米の量を減らしたり、玄米といった低GI食品(食後血糖値の上昇指数「GI値」が55以下の食品)に変えたり、最後の最後で食事に変化をつけてあげると、いい状態で大会を迎えられます。

 逆に食事はそのままでトレーニング量を増やすといった絞り方をすると疲労が抜けず余分な水分を吸収しやすくなって、体がむくんでしまうんです。

ーーただ摂取カロリーを抑えて、トレーニングを増やすだけじゃない。

 はい、めちゃくちゃ考えてやってます(笑)。それでも去年は絞れない時期があって。前日に完璧な1日を過ごしたはずなのに、翌日、体重に表れない日がめちゃくちゃ多くて、苦しすぎました。

 そして、優勝を目指してた去年8月の「スポルテックカップ」でも3位になってしまい、「私、向いてないんじゃないかな......」と競技をやめようかとも思いました。

「スポルテック」後2週間はトレーニングも減量もやらなかったんですが、その年の「オールジャパン フィットネス チャンピオンシップス」は地元の宇都宮開催で歯科衛生士の同僚も見に来てくれるから、やっぱり頑張ろうってリスタートしたんです。でも結局、「オールジャパン」は減量が間に合わず、でした。

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