引退→現役復帰の共通点を持つ飛込・馬淵優佳とエアロ・北爪凜々 離れて感じたかっこよさと「これしかないと気づいた」自分 (2ページ目)
―― お二人はともに幼少の頃から競技をやられています。馬淵さんは競技を続けるのが辛い時期があったと伺っていますが、それはいつぐらいのことなのでしょうか。
馬淵 小学4年くらいの時に、オリンピックを目指すチームに入って急に練習が厳しくなったんですが、そこから練習が嫌だなと思い始めましたね。当時は父がコーチだったこともあり、怖いし、痛いし、苦しいしというところに意識を向けてしまって、競技の魅力や楽しさを見いだせなかったですね。
北爪 私は辞めたいとか、苦しいとかは思わなかったですね。ただ、たくさん練習したのにうまくいかなかったり、結果につながらなかったりした時には悔しい気持ちがありました。それでもいろんな経験ができるから成長できると教えてもらっていたので、気持ちを切り替えるようにしていました。
馬淵 私は父だからこそ敢えて教わらなかったところはあります。1度だけ、中学3年生の時に父に「辞めたい」と言ったことがありました。今までまったく言えなかったけど、抑えていた気持ちがあふれ出してしまって、決心を固めて言ったんですけど、「辞めて何すんねん」とだけ言われて、次の日に合宿に連れて行かれました(笑)。私はただその苦しさから逃げたかっただけなんですよね。
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―― 馬淵さんも北爪さんも、20代になって一度引退をされています。北爪さんは世界チャンピオンになられてからの引退ということでしたが、どのような理由からなのでしょうか。
北爪 もうやりきったという気持ちが大きかったです。2019年4月のスズキワールドカップを最後にしたんですが、シニアになった2016年以降、世界ランキング1位にもなれて、世界選手権でも優勝することができて目標がなくなってしまいました。目指していたものをすべて獲れたのが大きな理由です。
馬淵 それは本当に幸せな引退ですよね。みんなが思い描いているすごく幸せな競技人生だと思います。選手のなかには年齢や環境、精神的、肉体的な理由で引退せざる得ない選手もいますよね。そのなかで諦めずにたくさんの努力をしてきたんだろうなと思います。
私はいろいろな限界を感じての引退でした。気持ちの面でもうこれ以上は無理だなって思ってしまいましたし、その時点でもう成長はないですよね。自分の限界を自分で決めてしまって引退を決意しました。
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