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「お手本は本田圭佑」「アスリートは特に炎上しやすい」専門家が指摘する、アスリートによるSNS利用の功罪 (2ページ目)

  • 小林 悟●取材・文 text by Kobayashi Satoru

●誹謗中傷は一種の「ねたみ」

 本業以外でも勝負本能がたきつけられてしまうというわけか。ずいぶんと前の話だが、ダルビッシュ有がツイッターで「永遠と」と「延々と」の言葉の使い方を巡り、それこそ「延々と」議論を繰り広げたことがあった。

「アスリートが競馬やパチンコなどギャンブルに依存してしまう例は多い。『当たった!』という瞬間に脳では快感、達成感を覚えるドーパミンが出るのです。これが、ホームランを打ったり、三振を奪ったりした時の感覚と重なってしまう。

 SNSで議論をするのも同じような中毒性があるんです。不毛な論争だと頭ではわかっていても、論破する快感を得たり、正義感が満たされたりしてドーパミンが出る。その快楽を一度知ってしまうと途中で抜け出せなくなってしまうケースもあります」

 SNS上にいるのは当然、アスリートを応援するファンだけではない。「さまざまな負の感情が混ざりこんでいる」と西多さんは指摘する。

「スポーツや選手が好きな人だけでなく、アンチも存在します。彼らは有名人であるアスリートをちょっと痛めつけてやれ、とか、いじってやろうとかの、ねじれた感情を持っています。

 一種のねたみですね。SNS上で自分の言葉にアスリートが反応したら、今がチャンスだとばかり攻撃的になる人たちが一定数存在するんです」

 アスリートが文脈なく問題発言をすることもあるが、一般のフォロワーからの批判や暴言による挑発が火種となることもある。

「SNSではバズらせた、あの有名選手を謝罪させてやったということを成功体験ととらえる人もいるから厄介です。ですから、アスリートは球場やピッチに声援を送ってくれる観客とはまったく別世界の人たちがSNS上にいるのだと十分に理解しておく必要があります。

 炎上から身を守るには、極めて控えめで角が立たないような言葉を選ぶしかないのですが......それだとあまり面白くないですし、注目してもらえなくなるかもしれないので難しいところですね」

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