廣瀬俊朗と伊藤華英が感じる生理と部活動の課題。「卓越性がすごく求められ辞めざるをえない意識になっている」

  • text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

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「スポーツを止めるな」ではともに活動をする伊藤華英氏(左)と廣瀬俊朗氏「スポーツを止めるな」ではともに活動をする伊藤華英氏(左)と廣瀬俊朗氏この記事に関連する写真を見る伊藤華英の For Your Smile ~ 女性アスリートの未来のために vol.5 
特別対談 廣瀬俊朗×伊藤華英 前編

 連載第5回目となる今回は、特別対談として、元ラグビー日本代表のキャプテンで、現在は一般社団法人スポーツを止めるな共同代表理事などを務める廣瀬俊朗氏とスポーツ界における女性の課題などについて意見交換を行なった。

ガーナで知った月経の実態

――お二人は「スポーツを止めるな」でご一緒していますが、どのようなきっかけで活動をスタートさせたのでしょうか。

廣瀬 「スポーツを止めるな」は、新型コロナウイルスの感染拡大により、スポーツ界全体の動きが止まってしまったなかで、学生アスリートをサポートしたいという思いから、スタートした活動です。最初の頃は、試合や大会がなくなってしまった学生のサポートや、進路のサポートなどを行なっていましたが、そんななかで伊藤さんに女性アスリートの「生理とパフォーマンス」の重要性を教えてもらいました。とても大切なことだと感じましたので、学生女性アスリートをサポートする活動を『1252プロジェクト』として始めました。

伊藤 そうですね。廣瀬さんが立ち上げた「スポーツを止めるな」に相談したところ、そのあたりの情報とサポートが少ないということで、スタートしました。今では廣瀬さんにもいろんなところで『1252プロジェクト』の話をしていただいています。

廣瀬 はい。この話は、皆さんの関心の高さを感じます。家庭内での父親の理解もそうですし、企業としても、そこに対してもっと配慮するようになってきました。僕は友人がやっている「CLOUDY」というアフリカでの教育支援などを行なっている会社をサポートしているんですが、その活動の一環として、数年前にガーナに行く機会がありました。その時に生理中の女の子が血をビニール袋で止めているという話を聞きました。そうした現状を見て、生理に対して向き合うことはとても大事なことだと学びましたし、日本の現状はどうなんだろうと考えました。そんな時に伊藤さんが話をしてくださって、この活動はすごくいいなと思いました。

伊藤 アフリカなどの発展途上国では、月経衛生対処(MHM)が課題となっています。生理についての教育とサポートが足りなくて、WHO、UNICEF、国際NGOなどが10年ほど前から支援の必要性について訴えています。だから日本でも広まってきているのかなと思います。

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