池江璃花子は「泳ぎも思考法も素晴らしい」。伊藤華英がスポーツをするすべての女性アスリートに伝えたいこと (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 廣瀬久哉●撮影 photo by Hirose Hisaya、AFLO

 チェックをすることによって、周期がわかるのはもちろん、人によってコンディションの波もわかるようになります。今後も自分の体とともに競技生活を歩んでいくわけですから、自分のコンディションを知る、最高のパフォーマンスを発揮するという意味でも、月経周期をチェックしておくことは、アスリートにとって大切なコンディションを整えることにつながると思います。

 また、小さい頃から体重管理をしなくてはいけない競技の選手に気を付けてほしいのが、無月経(視床下部性無月経=エネルギー不足によるもの)です。万が一、15歳になっても初経がきていない選手がいるなら、すぐに産婦人科に行ったほうがいいです。初経がこない選手や無月経になった選手は、骨の成長、内臓の成長に影響が出てきてしまいます。だから、いくら頑張っても筋肉がつかないとか、疲れがとれないなどの症状が表れたりします。なかには、何度も疲労骨折をしてしまい、引退を余儀なくされる選手もいます。

「月経がこなくてラッキー!」「止まって楽!」などの考えは捨て、月経が健康的にくることを前提とし、競技をするうえで適切な対処をしていく方法をとってほしいですね。


【Profile】
伊藤華英(いとう・はなえ)
1985年1月18日生まれ、埼玉県出身。元競泳選手。2000年、15歳で日本選手権に出場。2006年に200m背泳ぎで日本新、2008年に100m背泳ぎでも日本新を樹立した。同年の北京五輪に出場し、100m背泳ぎで8位入賞。続くロンドン五輪では自由形の選手として出場し、400mと800mのリレーでともに入賞した。2012年10月に現役を引退。その後、早稲田大学スポーツ科学学術院スポーツ科学研究科に通い、順天堂大学大学院スポーツ健康科学部 博士号を取得した。

■インスタで「スポーツと生理」の教材を配信
伊藤華英さんがリーダーを務める「1252プロジェクト」。これは女子学生アスリートを中心に、10代の若者が抱える「スポーツと生理」にまつわる課題に対し、トップアスリートの経験や医学的知見をもって、情報発信をしているプロジェクト。その一環として、インスタグラムで手軽に学べる「スポーツと生理」の次世代型オンライン教材『1252 Playbook』を配信中。
Instagram:1252project>>

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