二階堂亜樹、プロ雀士歴24年目の境地。「手痛い失恋をしても、麻雀を打っている時は忘れられる」 (3ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

---- 安藤プロのもとで麻雀の本質を考えるようになり、1999年に史上最年少でプロ雀士デビュー。そこから20年以上が経ちましたが、亜樹選手にとって麻雀の位置づけに変化はありましたか?

「麻雀そのものに対する考え方は、10代、20代、30代で、それぞれ違ったなと思うんです。麻雀を神格化した時期もあったし、蔑んだ気持ちで見た時期もあるし(笑)。今は割と俯瞰した目で見ている気がしています。

 ただ、プレーヤーとしてはもっと近くに麻雀を感じたいと意識していて。麻雀が好きで、麻雀がやりたくて麻雀プロになって、これから先もずっと長く麻雀をやっていきたいと思っているので。麻雀に愛されたいと思っているんですけど、あんまり愛されていない、みたいな(笑)」

---- そんなことはないと思いますが。

「麻雀プロのなかには『やっぱり麻雀に愛されているな』と感じる人がいるわけですよ。うらやましいなと思う半面、自分も勝つ時もあるわけで、その時はきっと麻雀に愛されているなとは思うんですけどね。常に愛されたい、みたいな感じですよね(笑)」

---- 亜樹選手にとって、麻雀とはどういう存在ですか?

「頭脳ゲームですし、競技でもあるし、趣味でもあるし、仕事でもあって。麻雀によって自分という人間が生かされている部分がすごくあると思っていますが、精神安定剤みたいな感じなのかな。

 20代前半の頃に手痛い失恋をしたわけです。当時はつらい気持ちで覆われていたのに、麻雀を打っている時は忘れられるし、楽しくて。一局が終わって牌を流している時は失恋を思い出してズーンと沈むんだけど、目の前に並ぶと忘れている、みたいな。それなのに麻雀でも負けたら、ちょっと病んでくわけですよ(笑)」

---- 麻雀が終わると、失恋という現実が再び目の前に現れるうえに、麻雀も負け。きつさは二重ですね。

「そう。ただ、気持ちや頭の切り替えを麻雀でスムーズにできるのは、私が麻雀を好きな理由のうちのひとつですね。『麻雀に人生を捧げる』なんて大それたことは言えないですけど、麻雀を好きでよかったし、これからも好きでありたいなと思っています」

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