二階堂亜樹、プロ雀士歴24年目の境地。「手痛い失恋をしても、麻雀を打っている時は忘れられる」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

---- 実際の安藤プロとはどうやって出会ったんですか?

「安藤さんに麻雀を教えてもらいたいと思って、安藤さんが携わる雀荘に行ったんです。そこで安藤さんが働いていると勝手にイメージしていたので。でも、実際は月に何回か来店されるだけだったので、その日に会えるわけもなく(笑)」

---- それで、どうされたんですか?

「そのお店で働き始めました。そうしたら安藤さんが実際に来たので『プロになりたい』と伝えたら、『一生懸命に勉強したらなれるよ』と言ってくださって。そこから安藤さんの麻雀を見学したり、自分の麻雀を見てもらったりして、それでプロになった感じですね」

---- 安藤さんの麻雀の教え方とは、どういうものだったのですか?

「直接的な打ち方を教えてくれるわけではなくて、麻雀への視野を広げるための方法を教わりました」

---- たとえば?

「自分が麻雀をするうえで、それまで当たり前だと思っていることを疑問視する。たとえば、ふだんは何も考えずにリーチをするけど、リーチをかけなかったら何が起きるのか。そこを研究して経験値を増やしなさいと『1カ月リーチ禁止』。

 そういう発想は自分自身になかったし、当然ですが負けたりするわけですよ。でも、何気なく打って勝っていると気づけないことはあって。振り返ると、安藤さんは負けることからも得るものはいっぱいあると教えてくれていたんでしょうね」

---- 人生で一番多感な10代で、安藤プロのような濃密な方から刺激を受けた。亜樹選手にとってはどんな存在だったのですか?

「麻雀の師弟と言われるんですけど、それは違うなって感じていて。まだ10代なかばで麻雀は強くなりたいと勉強しているけれど、安藤さんの知識の足もとにも及ばない時でも自分の基本的な質問に真剣に答えてくれて。すごく優しい方でしたから、プロ雀士としてはもちろんですけど、人間的に憧れていました。麻雀の師匠というよりは『人生の先生』という感じですよね」

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