有森裕子が語る、女性アスリートが抱える問題。「被害を訴えたくても解決するイメージがわかない」という現状 (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 石川高央●撮影 photo by Ishikawa Takao

――そのほか、有森さんが見聞きする女性アスリートの問題はありますか。

 悩みや問題点を他人に話すのは、実はすごく難しいんですよね。パワハラ問題もセクハラ問題も、伝える相手が組織になってしまう場合がとても多いんです。弁護士も指導者も組織から任命される場合がよくありますし、第三者委員会もメンバーを見ると組織絡みの方がいる場合があります。

 それを知ると、被害を訴えたい人は、問題を解決してくれるイメージがわかない。言いたくても言えない人たちは、本当にたくさんいると思います。そうすると、アスリートの逃げ場がなくなり、SNSなどに訴えるしかなくなるんです。私は日本パラスポーツ協会の理事もやっていますが、パラアスリートで問題を抱えている人も本当に多いです。

――女性が抱える問題を解決するために、スポーツに関わる人たちは、どんな意識を持つべきでしょうか。

 私は、女性が抱えている問題を解決しようと強く訴えるフェミニストではありません。すべてとは言いませんが、私は女性の問題の多くは女性が起こしていると思っています。女性の問題イコール、男性が敵、という意味ではないんです。

 社会のなかで生きる人間が問題なので、女性が抱える問題を議論するなかには、必ず男性が入らないといけない。女性が女性のために頑張ろうとなってしまうと、問題が解決していかない側面があることを、女性がしっかりと認識すべきだと思っています。

 だから私は常々、ウィメンズライツを考えるよりも、ヒューマンライツとして考えてねと伝えています。

――そのほかで、有森さんが女性アスリートにいつも伝えていることはありますか。

 男女は考えるなと伝えています。女性を基準にするのではなく、一人の人間として、自分がやっているスポーツで、どれだけの価値を作り出せるか、その価値を周りに伝えていけるかどうかだと言っています。

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