カーリング女子日本代表 ロコ・ソラーレの強さとは? 市川美余が各選手のすごさを徹底解説 (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

――北京五輪でもその感性でクセのある石をうまく扱ってくれるでしょうか。

「はい、そう思っています。ただ、そうした石の情報はテレビで見ていてもなかなかわかりづらいですから、かなり上級者向けの観戦ポイントになってしまうかもしれませんね」

――テレビ画面を通してもわかる、吉田夕選手のプレーの見どころはどういった点にありますか。

「まずショットで言えば、ウィックです。相手のガードストーンをテイクしない程度に少しずらして、ガードとしての機能を奪うショットです。かなり難易度の高いショットなのですが、その精度が非常に高いです」

――吉田夕選手のスイープ面については、どう評価されていますか。

「力強いスイープもすばらしいのですが、決して掃きすぎないのも強みです。スイープにはストーンの進みを延ばす役割がありますが、ショットが弱かったりすると、焦って一生懸命に掃いてしまい、結果的にストーンが狙いよりも進んでしまうことがあるんです。そういったオーバースイープはトップ選手でも出てしまうミスなのですが、彼女はスイープ途中でも掃くか、やめるかの判断が的確にできる選手です」

――セカンドの鈴木夕湖選手とのコンビは「クレイジー・スイーパーズ」と称され、すでに世界的にも知られている存在となっていますが、鈴木選手のスイープのよさについても教えてください。

「鈴木選手は力強さに加え、トルク(回転)のスピードも高い評価を受けています。さらに、第一声がほとんど合っています」

――「第一声」というのは?

「特にドローショットの時なのですが、投げる選手がストーンをリリースしたあと、スイーパーは『いいよ』とか『7半!』などと短く声を発して(ストーンのスピードを)チームに共有します。『いいよ』というのはストーンのウエイト(速さ)がちょうどよさそう、『7半』というのはホグラインからホグラインの間を7.5秒で通過するくらいのウエイトだよといった情報ですね。ゾーンナンバーで言うこともありますが、鈴木選手のコールが間違っていることはほとんどありません」

――吉田夕選手と鈴木選手のコンビ、さらに吉田知那美選手と、ロコ・ソラーレのスイーパー陣は「目もいい」と言われています。

「そうですね。どのスイーパーも目がよくて、ジャッジが早い。ですから、スイーパーから『こっちはどう?』といった提案が出るシーンも多い気がします。

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