メダル候補でも資金難で危ぶまれた競技生活。スノーボード飛田流輝は北京五輪で「ど派手にジャンプを決めます」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【遠征費の半額が自己負担に】

「これまでは全額補助してくれていたので、それが続くと思っていました。それなのに急に遠征費の半分を負担と......。すぐに準備はできないですから、遠征費は借金です。今季はオリンピックシーズンなんですよ。一番大事なシーズンで、一番お金のかかるシーズンなのに......」

 今シーズンはAランクの飛田は、遠征費の半分を自己負担している。スノーボードの海外遠征費は1シーズンで600万円〜1000万円ほど。その内訳は大会や合宿の行なわれるヨーロッパやアメリカへの飛行機代のほか、ひとたび遠征に出れば長期にわたる宿泊費なども含まれる。

「コロナ禍以前は大会で表彰台に乗っていたので、オフシーズンの強化費も捻出できていたんですけど、大会そのものが中止になっていたので厳しい状況です。いまは大学が協力してくれていますが、来シーズンは卒業しちゃうので......。用具は提供スポンサーがあって助かっていますが、やっぱり大きいのは遠征費。卒業後に競技を続けようにも、いまのままでは難しいんですよ」

 シーズン前にクラウドファンディングで活動資金を募ったものの、目標額には届かなかった。それだけに「2020年のSNOW AWARDが開催されていて、自分の名前がもっと数多くメディアで取り上げられていたら」という思いは強まった。

 日本体育大4年に籍を置く飛田は、他競技でトップレベルにあった大学同級生たちが、競技を辞めて就職活動に励むのを目の当たりにしてきた。それもあって冒頭のコメントになるのだが、それでも飛田は競技への熱い思いは揺るがない。

「コロナ禍で競技を続けるのが難しいからと、みんなは就活していました。でも、僕は卒業後も競技を続けたいから就活はしなかった。いまは来シーズンも競技ができるように企業などの所属先を探していて。僕にとって北京五輪は就活みたいな感じです(笑)」

 そんな飛田に朗報が飛び込んだ。1月に不動産会社ウィルレイズとの所属契約が決まったのだ。

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