メダル候補でも資金難で危ぶまれた競技生活。スノーボード飛田流輝は北京五輪で「ど派手にジャンプを決めます」
【五輪以降も競技を続けたい】
「親には『オリンピックよりも就活しろ! 就活しろ!』って言われていて......」
2020年初頭からのコロナ禍によって、競技活動の苦境に立たされるアスリートは少なくない。大会中止の煽りを受けてアピールの場が失われ、競技活動のためのスポンサー獲得が思うようにいかないためだ。
スノーボードのスロープスタイルとビッグエアの2種目に出場する飛田流輝この記事に関連する写真を見る スノーボード日本代表として、スロープスタイルとビッグエアの2種目で、北京冬季五輪のメダル有力候補に挙げられている飛田流輝もそうした選手のひとりだ。
飛田は現状打破の起爆剤にするために、北京五輪への意気込みをこう語る。
「僕は競技が好きなんですよ。来シーズン以降も競技を続けていくために、北京五輪までのすべての滑りに思いっきりフォーカスしていきます」
平昌五輪後の2018/2019シーズンから国際大会をまわるようになった飛田は、「最初は海外選手との技術差を感じ」ながらも、そこから一段ずつ世界の頂点との距離を詰めた。参戦2シーズン目の2019/2020シーズンにはスロープスタイルでW杯年間優勝。シーズンに目覚ましい功績を残した選手を表彰するSAJ(全日本スキー連盟)の『SNOW AWARD』にも輝いた。
しかし、2020年3月頃からの新型コロナウイルスの感染拡大によって、飛田がスポットライトを浴びるはずだった昨年のSNOW AWARD表彰式は中止。個人スポンサー獲得に向けて絶好のアピールの場は失われた。
「SNOW AWARDをいただいたのはありがたいんですけど、もらってることを誰も知らないんですよ。世界のW杯で総合優勝したのにコロナのせいで......メンタル的にこたえますよ」
これだけの実績があって五輪のメダル候補ともなれば、普通なら競技活動を支援するスポンサーは現れるものだが、コロナ禍で歯車は狂った。やり場のない悔しさを抱えている飛田に、SAJの方針転換も追い打ちをかける。
コロナ禍によって2020年に主催大会を行なえなかったことで、JOC(日本オリンピック委員会)からの補助金が激減したSAJは、昨年7月に強化選手の遠征費などで選手負担の比率を変更。Sランクは従来どおりの全額補助だが、Aランクは50%、そのほかは75%を選手側が負担することになった。
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