モーグル里谷多英、長野五輪金メダル獲得の真相。気持ちを入れ替えた「2つの出来事」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

――長野五輪で金メダルに輝いて、続くソルトレークシティーでも銅メダルを獲得。関係者の方に話を聞くと「里谷は"ここ"というところでの集中力がすごい」と言っていました。ご自身ではそういった自覚はありますか。

「自分で集中力がすごいとは思いませんが、17歳で初めて五輪に出場してから、五輪にすごくフォーカスしてきました。五輪が終わったら、次の五輪のことを考えているというか。そうやって、4年ごとに考えて競技生活をしていたので、36歳で引退するまであっという間でしたね(笑)。

 とにかく、4年に一度の舞台で『いちばんいい滑りをしたい』と思って、そこに向かってそれまでの4年間の計画を立ててやってきました。そして、五輪の1カ月前とか、直前になればなるほど、いろんなことにも集中できていたような気がします。集中すると、さまざまなことを吸収できて、スキーにしろ、ジャンプにしろ、うまくなっていくのが自分でも感じとれるんです。そうやって、本番に向けてどんどん調子が上がっていって、滑るのが楽しくなっていった、というのはあります」

――ところで、先ほど名前が挙がりましたが、現役中は上村愛子さんとの関係が常にクローズアップされていました。

「愛子とは、いいライバルでした。最初の頃は合宿などでも一緒の部屋で過ごすことが多かったですから。

 長野五輪以降は個人部屋になって、大人になっていくにつれ、お互いにいい距離感を保っている感じでした。現役ですし、ライバルですから、これ以上は近づかないけれど、離れもしない、みたいな。ライバル同士、ベタベタしているというのはちょっと想像つかないじゃないですか。

 現役時代はそんな感じでしたけど、今は一緒にスキーをしたり、食事をしたり、仲いいです」

――周囲でいろいろ言われるという点では、長野五輪で金メダルを獲得して以降、競技以外でもメディアに追いかけられることが多くなったと思います。週刊誌などであらぬことを取り上げられたりして、嫌な思いをすることはなかったですか。

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