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フェンシングをメジャー競技にするために。武井壮が語った「3つのシステム」の構築 (4ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 松永光希●撮影 photo by Matsunaga Koki

――それはどういったことでしょうか。

武井 日本のフェンシングの競技人口は約6000人と少ないにもかかわらず、世界一になった選手が4人も生まれている。そのコーチングのメソッドや技術体系が優秀じゃないはずがないんです。でも、そのメソッドを知る選手が引退後にコーチをしたいと思っても、教える対象の人数が少なくてビジネスが成り立たないから、フェンシングから離れて別の仕事をすることになってしまう。

 結果として、現在は外国人コーチを雇っています。もちろんそこから学ぶことも多いですし、クオリティも高いですが、これはサスティナブル(持続可能な発展)じゃないですよね。そこで重要なのが、3つ目のシステム「コーチング・スクワッド」です。

――スクワッドは「部隊」「一団」という意味がある言葉ですが、どういったシステムを考えているのでしょうか。

武井 現役選手も含めたトップクラスで活躍した選手たち、コーチ経験者に「コーチング・スクワッド」に登録してもらい、月に1、2回でもいいから日本代表の選手や各世代のトップレベルの選手を指導する時間を持つようにする。自分の成長につながったと思う練習方法を共有することで、"ジャパンメソッド"を確立していこうということです。

 メソッドを国内に広めていくことはもちろん、そのメソッドが海外に買われ、たくさんの日本人コーチが世界中の国で指導できる状態になればと思っています。選手のセカンドキャリアを確保でき、日本協会への信用も高まり、海外から外貨を獲得することもできる。システムさえ作れたらその先はスムーズに流れていくでしょうから、協会の理事の方たちにそれを伝えて、進めていってもらおうと思います。

(後編:スポーツとスポンサーの関係は「認識を改める必要がある」>>)

■武井壮(たけい・そう)
1973年5月6日生まれ、東京都出身。陸上・十種競技の元日本チャンピオンで、格闘技、野球、ゴルフなどさまざまなスポーツ経験を持つ。十種競技の日本記録保持者である右代啓祐への指導をはじめ、指導者としても高い評価を受ける。メディア出演を中心に活躍しながら、世界マスターズ陸上では金メダルを獲得。2021年6月に日本フェンシング協会会長への就任が発表され、大きな話題を呼んだ。
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