野口啓代、八王子で復活の狼煙。東京五輪で「女王帰還物語」完結へ (4ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO


 スタートの体勢をとったあとに、右足を左右に大きく振って反動をつくり、振り出した右足が次のホールドを踏んだ刹那、さらに右方向にあるホールドに飛びつく。両手でホールドを押さえると同時に、身体の勢いを消すため、右足で別のホールドを踏む動きが求められた。

 この大会の決勝を戦ったひとりで、2位になった野中生萌はこうした内容の課題を得意にする選手だが、ダイナミックな横移動のパートに苦戦して、5回目のアテンプト(※)でようやく完登。対して、野口は2度目のアテンプトで完登したのだ。

※アテンプト=スタートを切ること。完登数が同じ場合は、完登した課題のアテンプト数が少ない選手が成績上位となる。

 前年までの野口なら、完登はおろか、スタート直後の動きにも手こずっていたのではないかと思う。

 この課題を攻略して優勝を手繰り寄せた野口は、次戦のW杯ボルダリング八王子大会で、第4戦の苦手課題攻略がフロックではないことを証明する。

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