大ケガを負って「相撲をやめよう」と思った栃ノ心が再起できたわけ (5ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki


これまでの、自らの相撲人生を振り返る栃ノ心これまでの、自らの相撲人生を振り返る栃ノ心 もちろん、そうした思いを言葉に出すことはなかったけれど、私の様子から師匠は察したんでしょうね。「バカヤロー! あと10年は相撲を取らなきゃダメだ!」と、叱責されて......。

 師匠は、普段から厳しいし、この時にかけられた言葉も厳しいものでした。でも、その裏側には弟子に対する愛情があるんですよね。だから私は、この時の師匠の言葉も、「おまえなら、まだやれる! こんなことで腐っているんじゃないぞ!」と受け取って、リハビリに励みました。

 そして、2014年春場所から復帰した私は、幕下55枚目で7戦全勝優勝。夏場所も、幕下6枚目で全勝優勝を飾って、十両復帰を決めました。

 十両復帰後も、名古屋場所、続く秋場所と連続優勝。九州場所では、ついに再入幕を果たし、11勝4敗の成績で敢闘賞をいただくことができました。

 幕内復帰の場所では「どこまでやれるのか......」と不安でいっぱいでしたが、若い頃と同じように、とにかく「必死で関取を目指していた時の気持ちを思い出してがんばろう!」――その一心でした。

(つづく)

栃ノ心剛史(とちのしん・つよし)
本名・レヴァニ・ゴルガゼ。1987年10月13日生まれ。ジョージア出身。春日野部屋所属。筋肉隆々の体と、豪快な吊り出しや上手投げで熱い人気を誇る。着物を着こなすファッションセンスと料理の腕前も注目を集めている。2020年春場所(3月場所)の番付は、西前頭9枚目。

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