カーリング「藤澤山口」が連覇。世界1位へ必要な武器を手に入れた (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text&photo by Takeda Soichiro

 一方で、地方代表組も、前年度優勝枠や推薦枠のペアと同じアイスに乗ることで大いに刺激を受けたようだ。優勝した「藤澤山口」と、準優勝の「鈴木・平田」の鈴木夕湖&平田洸介ペア、両チームと対戦した「クレイポルド」の傳直文はこう語る。

「とにかく技術が高い。少しでも危ないスペースを作ってしまうと、すかさずそこに入ってくる。ミックスダブルスは細かいミスが出ると、複数失点につながってしまう怖さがあるんですが、短い期間でそれを理解しているのでしょう。また、リリースの際に『ちょっと体が外に出ていたよ』とか、細かな部分まで伝え合っているのも印象的でした」

「妹背牛協会」の似里も、「彼らに技術と経験がある前提で、ですけど」と前置したうえで、傳と同様に「難しいショット、僕たちが思いつかない作戦をしてくるのは、勉強になりました」と優勝枠や推薦枠ペアに賛辞を送り、彼らの強さについてそう語った。

 結果的に、強化委員会推薦チームらが手を焼いたミックスダブルスの生命線となる「ハウス中央へのドロー」と、反対にミックスダブルス専門ペアが舌を巻いた"幅広いショットと高い技術"と、このふたつをうまく融合していたのが、頂点に立った「藤澤山口」だった。

 準優勝に終わった「鈴木・平田」の鈴木は決勝後、ロコ・ソラーレのチームメイトである藤澤について、手放しで称えた。

「作戦面、アングルの作り方がとくにすごかった。あらためてサッちゃん(藤澤)はいい選手なんだな、と思いました」

 そして藤澤は、「苦しい戦いも多かったけれど、その分、成長できたかなと思います」と語った。その言葉どおり、昨年の大会で8試合、その後の世界選手権で11試合、そして今大会の9試合――すべての経験を無駄にせず、貪欲にチームの血肉に変えられたことが、今回の結果につながったのだろう。

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