カーリング「藤澤山口」が連覇。世界1位へ必要な武器を手に入れた (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text&photo by Takeda Soichiro

 まずは経験が重視される種目なので、4人制では国内トップレベルにある面々であっても、そう簡単に対応できるものではない。今回、JCA(日本カーリング委員会)強化部による強化委員会推薦枠で初めて出場した小谷優奈&荻原功暉ペアの「小谷・荻原」や石垣真央&神田順平ペアの「石垣・神田」らは、予選リーグで敗退した。

「小谷・荻原」の荻原が「(ミックスダブルス)独特の石の積み方、配置になるので、ドローを(ハウス)中央に正確に置けないと勝負にならない」と言えば、「石垣・神田」の神田は「どこで勝負を仕掛けるのかつかめないうちに、どんどんゲームが進行していく。ハウス内の状況が悪くなってしまうと、取り返しがつかない」と、ともにミックスダブルス特有のゲーム性への戸惑いを隠せず、経験不足を嘆いた。

 ただ、彼らの予選リーグ敗退の要因を、経験と研究不足だけに断定することはできない。

 前年度の優勝枠、そして推薦枠以外、つまり地方予選から勝ち抜いてきたペアでプレーオフに進んだチームは、荻原が指摘した「中央に置くドロー」を丁寧にハウス内に送り込み続けた。

 地元・中部ブロック代表の、「クレイポルド」の傳美砂子&傳直文ペア、「オリオン機械」の堀内珠実&冨安岳人ペア、「チーム柳澤」の柳澤実知&小泉聡ペアをはじめ、「妹背牛協会」の三浦好子&似里浩志ペア(北海道ブロック)や、リスクを減らすゲームメイクをしながらもキーショットをしっかり決めて4位と躍進した「藤澤・小野寺」の藤澤汐里&小野寺浩太ペア(関東ブロック)は、正確かつ安定したショットを見せ、地方代表かつミックスダブルスのトップチームとしての矜持をそれぞれ示した。

 その地方代表組については、3位となった「札幌国際大学」の吉村紗也香も、「私たちがなかなか入れない場所にしっかり(ストーンを)置いてくる」と賞賛を惜しまなかった。

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