2019.02.12

初代スピード女王は野中生萌。
気温5度でもタンクトップ姿で逆転勝利

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

「もう、寒くて、寒くて……。スタート地点のとなりにある選手の控え場所が日陰なので、待っている間にどんどん身体が冷え切っちゃって」

 予選ラウンドの競技開始までのわずかな時間に、厚手のダウンジャケットを羽織って太陽に照らされる観戦エリアに現れた野口啓代は、まるで全身に太陽熱を溜めこもうとしているかのようだった。

1月のボルダリングに続いてスピードのジャパンカップも制した野中生萌 東京五輪のスポーツクライミングが3種目複合のコンバインド(複合)で行なわれることになったために誕生した、スピード種目の単独大会『第1回スピード・ジャパンカップ』が2月10日、東京・昭島で開催された。

 前日の雪景色から一転し、太陽が出て風もほとんど吹かなかったことで、屋外ながらも観戦は楽しめるものになった。一方で選手たちは、5度という気温の低さに苦しめられていた。

 大会は朝11時、全選手がコースを2本ずつ練習で登るプラクティスから始まった。その直後の予選ラウンドでは、2度のタイム計測を実施。1時間半ほどのインターバルを取った後、決勝ラウンドは予選タイム上位16選手がふたりずつ対戦して、先着勝ち上がりのトーナメント戦で行なわれた。

 女子の初代スピード女王には、野中生萌(みほう)が輝いた。予選ラウンドから決勝ラウンドまで9秒台を揃えた実力で他を圧倒。予選ではウィンドブレーカーのジャケットを着たまま登っていたが、決勝ラウンドではタンクトップ姿で臨んだ。

 伊藤ふたばと対戦したファイナルでは、序盤にミスをして先行を許したものの、終盤で逆転。「決勝では序盤でミスが出て焦りましたが、なんとか巻き返せてよかった」と顔をほころばせた。

「スポンサーのロゴが入っているのが、タンクトップかジャケットしかなくて。ジャケットで登るのはナメているかなと思って脱ぎました。とても寒くて悪い条件でしたけど、優勝したいと思って臨んだ大会なので、実際に優勝できてうれしいです。ミスをしなければ勝てるという自信がついてきました」(野中)