カーリング界の新女王へ。吉村紗也香が「新生」北海道銀行を変える (4ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

――昨年11月には、ワールドツアーのOakville Fall Classic(カナダ)で優勝。カテゴリーは劣るものの、グランドスラムのTour Challenge Tier2にも出場しました。

「隣り合わせの会場なのに、派手なスポットライトが当たるTier1の大会に比べると、Tier2の大会はちょっと薄暗いシートで行なわれたりして、Tier1の環境とはけっこう格差があるんだな......と(笑)。でも、それを知ることができたのもいい経験でした。いずれにしても(世界の強豪が集う)この場に立ち続けたい、そう強く思いました」

――そうしたワールドツアーの結果について、どんな手応えを感じていますか。

「良い内容のゲームもたくさんありましたが、満足はしていません。どの大会でもやっぱりクオリファイしてから、もうひとつ、もうふたつ、勝っていきたいです。

 良くも悪くも、上に行けば1本のショットで勝敗が決まってしまうゲームが増えてくる。そこを、どうクリアするか。チームとしてもっとよくなるだろうという実感もあるし、自分もどんな場面でも(狙ったショットを)決められるようにならないといけない」

――今季から5ロックルール()が本格導入されました。これまでと、作戦面での変化はあったのでしょうか。
※=フリーガードゾーンにおけるルール改正。これまでは、両軍が投じたリードの4投がハウスにかからないガードストーンとなった場合、セカンドの1投目からテイクが可能だったが、そのセカンドの先攻の1投目、つまりエンドごと5つ目の石まで、テイクが不可になった。

「求められる作戦も変わってくるので、イチから作戦を練り直す必要がありました。作戦によっては複数点を取りやすくなりましたし、スティール(※不利な先行時に得点すること)の可能性が高くなりました」

――これまで、序盤で3点差がついたら大勢が決まっていた試合でも、最後までどうなるかわからなくなった、と。

「(3点差あっても)ぜんぜん逆転されちゃうし、反対にリードされていても最後まで逆転が狙える。そういう意味では、面白いし、怖いですね。アイスによっても攻め方を変えないといけないので、ショット選択のバリエーションは増えたと思います。たとえば、ウィック(※フリーガードゾーンにあるストーンに当てて位置をずらす、難易度の高いショット)も、序盤、中盤で必要になってくるケースがあります」

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