五輪種目のクライミング複合。ポイント数が3種目の「掛け算」なわけ (4ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 体育館には空調設備がなく、演出のために暗幕が張られて窓が開かない状況のため、立ち見客が出るほどに客席が埋まると、ジッとしているだけで汗が流れ出るほど。ボルダリングの課題をつくるセッター陣は、「体育館のなかがこれ以上熱くなると、課題をつくったときの狙いとは変わってしまうかも」と心配していた。競技が始まってしばらくすると照明などで室温はさらに上がり、孫を連れた老夫婦が暑さのあまり途中で体育館を退出する姿もあった。

 また、体育館に隣接された競技前のウォーミングアップ用テント内も改善の余地はある。「蒸し風呂のようで暑すぎてアップしていたら気持ち悪くなっちゃって」と、万全のコンディションで競技に臨めなかった選手もいた。

 コンバインド・ジャパンカップの決勝戦には、リード・スピード会場と、ボルダリング会場を合わせて1382名の観客が来場した。当地のリード・スピードの施設は立派で、『スポーツクライミングの聖地・盛岡』を掲げている。名実ともにそうなれるかは、この第1回大会で得た教訓を生かしながら、選手と観客に優しい大会をつくれるにかかっているのではないだろうか――。


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