2018.01.31

ジョージア出身・栃ノ心は、
なぜ「親方の不祥事」をプラスにできたのか

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 大相撲初場所で、ジョージア出身の西前頭3枚目・栃ノ心(30歳・春日野部屋)が初優勝を飾った。14日目に松鳳山を寄り切り、2012年夏場所の旭天鵬(現友綱親方)以来となる平幕優勝を達成。来場所には7度目の三役復帰が確実と見られている。

初場所で平幕優勝を果たした、ジョージア出身の栃ノ心 千秋楽でも遠藤を破って14勝1敗で初場所を終え、春日野部屋からは1972年初場所の栃東以来となる天皇賜杯を抱いた栃ノ心。優勝インタビューでは、向けられたマイクに口を寄せながら「うれしいです」と答える初々しいやり取りで、2006年春の初土俵から自分を支えてくれた人々への感謝をこう述べた。

「親方からおかみさん、春日野部屋のみなさん、後援会のみなさん、日本人のみなさん、私の国のみなさん、みんな胸がいっぱいで応援ありがとうございました」

 ジョージア出身力士として初の優勝を果たし、「夢にまで見た」という栄光までの道のりは、波乱万丈だった。

 故郷ジョージアの古都・ムツヘタにある実家はワイン農家を営んでおり、家業を手伝ったことで自然と足腰が鍛えられた。子供のころから、柔道と、同国の伝統的な格闘技「チダオバ」に熱中して育ち、17歳のときに相撲の世界ジュニア選手権に出場。まったく経験がなかったにもかかわらず、3位入賞を果たした。

 このときに日本の国技である大相撲の存在を知り、ジョージア出身初の関取である黒海が活躍していることも耳にした栃ノ心は、支援者の紹介で春日野部屋への入門を決意した。

 初土俵は2006年の春で、190cm、110kgを超える体格を生かした四つ相撲で頭角を現し、初土俵からわずか2年の2008年初場所で新十両に昇進。その場所でいきなり優勝した。

 その後、十両は2場所で通過して同年夏に新入幕を決め、2010年の名古屋場所では新三役に昇進するなど、順調に出世街道を歩んできたが……。

 2010年10月に事件が起き、暗転する。