驚きのW杯総合1位。小林潤志郎が
「葛西頼み」の男子ジャンプを変えた

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 11月25日に開催されたノルディックスキーワールドカップ(フィンランド・ルカ)、ジャンプラージヒル団体で、日本は3位に食い込みで2シーズンぶりとなる表彰台に上った。

3位入賞を果たした団体メンバー(左から)小林潤志郎、葛西紀明、小林陵侑、竹内択3位入賞を果たした団体メンバー(左から)小林潤志郎、葛西紀明、小林陵侑、竹内択 1本目に3位につけた日本は、2本目のジャンプでは1番手の竹内択(北野建設)が2位ドイツに0.9点差まで迫り、2番手の小林陵侑(りょうゆう/土屋ホーム)が、前日のラージヒル個人予選でアンダーウエアの規則違反による失格となった悔しさを吹き飛ばす138mのジャンプで2位に順位を上げた。そして、3番手の葛西紀明(土屋ホーム)が133.5mのジャンプで順位をキープして、最後は陵侑の兄・小林潤志郎(雪印メグミルク)に表彰台に上れるか否かが託された。

 各国のエースが揃う最終4番手の戦いは、ヒルレコードの147.5mを飛んだシュテファン・クラフト(オーストリア)を筆頭に、ヒルサイズの大ジャンプが飛び出す展開になる。その中で「個人戦では緊張したことはないですが、表彰台がかかる団体戦は別。追いかける戦いではなく、追いかけられる戦いなので緊張しましたし、ビビりました」というように、潤志郎のジャンプは力んでしまう。それでも、ドイツには逆転を許したものの、129.5mを飛んで、オーストリアを抑えて3位を堅持した。

 日本チームの横川朝治ヘッドコーチ(HC)は「よく頑張ったと思いますね。ドイツとノルウェーは表彰台の常連ですが、あまり上がっていない日本が3位になれたのは頑張った証拠。平昌五輪へ向けてシーズン初めから勢いがついたという感じがあるし、チームには『次は俺だ』という選手がいっぱいいるので、そういう雰囲気になったのはすごい収穫です。ケガで休んでいる伊東大貴(雪印メグミルク)も、今頃ソワソワしてるんじゃないかと思います」と笑顔を見せた。

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