3横綱なき秋場所で、豪栄道が1年ぶりの「カド番→優勝」を狙う (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 昨年の秋も、夏巡業と場所前に内容のある稽古を重ねたことが優勝につながった。カド番であることを含め、1年前を彷彿(ほうふつ)とさせる状況に、豪栄道は「優勝しかありません」と、口調は静かながら熱い想いを口にする。

 実は豪栄道には、さらなる発奮材料がある。秋場所13日目の9月22日に、ジュニア向けの初の自伝『すもう道まっしぐら!』(集英社みらい文庫)が出版されるのだ。同書では、小学1年生から始めた相撲で、栄光と挫折を繰り返してきた"土俵人生"を赤裸々に明かしているが、本場所の相撲でも子供たちを勇気づけたいと意気込む。

「子供たちに、あきらめてはいけないということを伝えたいですね。つらい時を我慢して、何かを続けていればきっと、次につながると思う。自分も、小4のわんぱく相撲で1回戦負けした次の年に優勝するなど、子供の時から浮き沈みが激しい人生でしたから。一度くらいつまずいても、あきらめないでほしい。辛抱すれば、いいことがあると信じてほしいんです」

 豪栄道にとって、この1年はまさに"浮き沈みの激しさ"を象徴するものとなった。それでも、数々の苦難に耐え、稽古場から逃げずに精進を重ねてきたところに、大きなチャンスが回ってきた。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る