【月刊・白鵬】ハートに火をつけ「鬼になった横綱」が1年ぶりの優勝

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第72回:1年ぶりの優勝

大相撲夏場所(5月場所)で38回目の優勝を飾った横綱。
昨夏から度重なるケガに悩まされてきたが、
懸命なリハビリと過酷なトレーニングを経て、
完全復活を果たした。その過程を横綱が振り返る――。

夏場所で通算38回目の優勝を飾った白鵬(左)。右は序ノ口優勝の炎鵬夏場所で通算38回目の優勝を飾った白鵬(左)。右は序ノ口優勝の炎鵬 6月25日、大相撲名古屋場所(7月場所)の新番付が発表されました。

 先の夏場所(5月場所)で38回目の優勝を遂げた私の番付は、東の横綱。4横綱の中でトップの地位というのは、やっぱり気持ちがいいものですね。

 さて、1年ぶりの優勝となった夏場所は、私にとって決して楽な戦いではありませんでした。

 昨年の夏場所で優勝して以降、私はずっとケガに苦しんで優勝からも遠ざかってきました。その間、今年の初場所(1月場所)で、稀勢の里が初優勝を果たして横綱に昇進。4横綱がそろった春場所(3月場所)では、一段と"優勝"を意識して、順調に稽古を重ねていました。実際、体調もかなりよかったんです。

 しかし、場所の途中で足を痛めてしまい、昨年の秋場所(9月場所)以来、横綱になって2度目の休場を余儀なくされました。本当に悔しかったです。

 休場となって、家族の住む東京に戻って治療するという選択もありましたが、私は大阪に残り、所属部屋にこもって治療に専念していました。他の横綱たちが激しい戦いを繰り広げているなか、その土地から離れたくないという気持ちも強かったと思います。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る