銀メダル獲得も通過点。渡部暁斗が求めるのは「厳しい争いを勝ち切る力」 (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AP/AFLO

「ソチ五輪後、2シーズン続けてW杯総合2位の暁斗にとって、今季は少し苦しんでいるシーズンだと思う。ジャンプが一番悪かったのは2月上旬の平昌大会。そこから少し立て直し始めて、ようやく間に合ったかなという感じです。チームとしても、ジャンプはいい流れではなかったので、フィンランドのクオピオに入ってから少しテイクオフのやり方を変えた。暁斗だけではなく、ジャンプを2位でスタートできたノーマルヒル団体を含めて、いい方向を向いて世界選手権に臨めたと思います。ただ、今回金メダルを獲るためには、ジャンプの修正に取り組んだタイミングが遅すぎたかもしれません。練習では(ジャンプで)1位になったサイドル並みに飛んでいたので、それを考えると、あと4~5mは飛距離を伸ばせていたかもしれないし、そうなれば展開も変わったと思います」

 ソチ五輪後、勝つために何が必要かといろいろ考えて試みてきた暁斗は、「短所を伸ばすというのは大変なことだから、亀のように少しずつ成長しながら微妙に右肩上がりみたいな感じでいければいいのかなと思います」と朗らかに笑う。

 そんな彼にとって、荻原健司以来18年ぶりとなる世界選手権、個人種目でのメダル獲得の快挙も、今後の競技人生を見据えるなかで、通過点に過ぎないようだ。

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