銀メダル獲得も通過点。渡部暁斗が求めるのは「厳しい争いを勝ち切る力」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AP/AFLO

 ドイツ勢がこの日のような、柔らかい雪質を得意としないという点では、日本勢に少し分があったかもしれないが、今回の銀メダル獲得のポイントは、ジャンプでしっかり飛距離を伸ばせたというところだった。

 昨シーズンの後半からは、距離を走れない時期が続いていたり、今季の中盤にはジャンプの調子を落としたこともあった。暁斗はそのときを振り返りながら、「何とか付け焼き刃で微調整しながらいい状態に持ってこられたのはよかった」と苦笑する。

「計画性があったわけではないというのが僕らしいといえば僕らしいけど、感覚でやって帳尻を合わせられたことで、自分もベテランの域にきたのかなという感じはあります。ただ、仕掛けてくるだろうと分かっているところで、対等に戦える実力をつけることが必要なので、地道に積み上げていくしかないと思います。厳しい状況になったときでも勝てる力が今の僕には必要というか、今回のノーマルヒルのような展開でも、銅メダルを獲れるくらいになれば、噛み合った時には金メダルも獲れるだろうから。そのくらいになるのが今、目指すところです」

 結果を冷静に振り返った暁斗について、日本チームの河野孝典ヘッドコーチは、「今季はドイツが強すぎるから目立たないけれど、暁斗が強くなっているのは確か」と言い、こう続けた。

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