全員カーリングで優勝の中部電力。
五輪をかけLS北見と最終バトルへ (4ページ目)
そんな状況になっても、新生チームのスキップを担った松村は腐らなかった。そして、清水らメンバーとの会話を重ねて、「全員でショット選択できるようなチームを作ろう」という結論を出した。技術や戦術を磨くのはもちろんだが、一方で年齢やキャリアなどにとらわれず、コミュニケーションを密にして、何でも言い合えるチームを作りたい――。
その意向については、会社にも報告した。すると、「遠回りでも、それが(チームの)強化になるなら応援する」と経営陣も同意。今季は、1カ月を超えるスイス合宿や、アメリカ合宿などを敢行した。その成果の大きさを、大日方優次監督が語る。
「(海外遠征を重ねて)寝食をともにし、選手たちがお互いを観察し、知ろうとし、それぞれを思いやる気持ちが強くなったのは明らか」
チームの誰もが発言し、何でも言い合える雰囲気を築いた中部電力は、見事に結果を出した。大会を通してみれば、すっかり"お姉さん"になった松村のゲームメイクも光っていた。「こっちのラインのほうが投げやすい」「あんまりリスクを負いたくない」などと言うシーンもあり、自身の技術と得点チャレンジへのバランスをうまくとって、チームの勝利に貢献した印象だ。
決勝の最終10エンドでも、「最悪、1点スティールされても、(延長の)11エンドで勝てばいいと思っていた」(松村)という想定は、チームみんなで共有していたという。
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