全員カーリングで優勝の中部電力。五輪をかけLS北見と最終バトルへ

  • 竹田聡一郎●取材・文・撮影 text&photo by Takeda Soichiro

「ちょっと(ストーン同士が)離れると、(相手に)2点取られるかもしれない」
「(相手のストーンを)ひとつだけでも出しておけば、1点で済むかも」
「当てるなら(相手のストーンの)内側だね」

 長野県・軽井沢アイスパークで開催された第34回全農日本カーリング選手権(1月30日~2月5日)。女子決勝の最終10エンド、6-5の1点リードで有利な後攻を持ったのは中部電力だった。しかし、スティール(先攻のチームが点を取ること)を狙う対戦相手のロコ・ソラーレ北見(LS北見)に攻撃的なショットを次々に決められ、スキップの松村千秋の1投目を前にしてタイムアウトをとった。

 得点になるナンバー1ストーンの位置には、自分たちの黄色い石があったが、微差で相手の赤い石も中央にあり、さらにそこからストーン1個分ほど離れた場所にもうひとつ、LS北見の赤い石が残っていた。つまり、もしミスが出れば、続くLS北見のラストショットで黄色のナンバー1ストーンをテイクアウトされたうえ、ハウス内には相手の赤い石だけが2つ、あるいは3つ残ってしまうという難しい状況にあったからだ。

 1分間のタイムアウトでは、スキップ・松村の父である松村保コーチのアドバイスを受けた。だが、その後もなかなか結論が出ず、持ちタイムはさらに2分減った。そこで、松村が投げるドローショットについて、冒頭の会話がかわされた。

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