五輪新種目ボルダリング。
10代中心の中、「30代」が挑み続ける理由
2020年東京オリンピックでの競技に決まり、注目度が高まっているスポーツクライミング(※)。2017年シーズンの幕開けを告げるボルダリング・ジャパンカップ(以下BJC)が、1月29日・30日に東京・代々木第二体育館で開催された。1000人を超える観客が見つめた競技結果は、女子は14歳の伊藤ふたばが初優勝。男子は大会前日に勤務先のクライミングジムでセット作業をしていた藤井快が男子で初めてBJC2連覇を達成し、昨季W杯年間2位の底力を見せつけた。
※ スポーツクライミング競技は、5mほどの高さの人工壁に作られた課題を登った数で競う「ボルダリング」、12mほどの高さの人工壁にロープをかけながら登った高度を競う「リード」、高さ15mの人工壁に国際規格で定められた統一課題を登る速さを競う「スピード」の3種目がある
今大会は男女を通じてU-20世代の選手の躍進が際立った。女子は優勝した伊藤が中学2年生、3位の森秋彩(あい)と6位の工藤花が中学1年生。決勝を戦った6選手のうち5選手が10代だ。男子も10代の9選手が準決勝を戦い、19歳の波田悠貴(BJC3位)、17歳の楢崎明智(BJC5位)が、初めて決勝戦に駒を進めた。
こうした背景にはスポーツクライミング界がユース選手の強化に長年取り組んでいることがある。国際競技団体のIFSCのもと10代の選手を対象にした世界ユース選手権や大陸別ユース大会があり、IOCが主催するユース・オリンピックでも新たに実施が決まった。国内でも日本山岳協会が年代別国際大会の代表選考会を兼ねて、ユース選手を対象にしたジュニア・オリンピックカップ(リード)、全日本クライミングユース選手権(ボルダー&リード)などを実施している。
IFSCルールでの大会が定期的にあることで、ユース年代の選手たちは競技継続のモチベーションを維持しやすく、大会ごとに課題を見つけ、克服に取り組み、成長していく。また、大会を数多く経験することで"場慣れ"することも、大舞台で怯(ひる)むことなく実力を発揮できる要因になるだろう。
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