【レスリング】永田克彦「42歳での復帰とグレコローマンへの想い」 (2ページ目)

  • 永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro
  • photo by Tsukida Jun/AFLO SPORT

 2015年11月、永田は10年5カ月ぶりにレスリングの表舞台へ帰ってきた。復帰の舞台は全国社会人オープン選手権。決勝では全日本社会人選手権3位の森川一樹(栗東クラブ)を6-1で退けて快勝。復帰戦をいきなりの優勝で飾った。

 この大会の結果、前述した全日本選手権の出場権を手にした永田ではあったが、当初は同大会に参戦するか否か真剣に迷っていたと、胸のうちを明かした。

「生半可な気持ちでは(全日本選手権に)出たくない。出場の資格が取れたから、『じゃあ出ます』というのは嫌だったんです。自分にとって全日本選手権は、優勝するために出るものだとずっと思っていましたし、これまでもそれに見合った練習量と覚悟を持って出ていた大会でした。だから、やるんだったらそういう覚悟を決めてから、出たいというのがまずありました。その一方で現在は(大学の指導者としての)立場もあります。ならば、その中でできる限りの準備をして、もう一回チャレンジしてみようと思い、最終的に出場を決めたんです」

 全日本学生選手権優勝1回、全日本大学グレコローマン選手権優勝2回、97年から02年にかけては全日本選手権6連覇を達成し、そしてシドニー五輪のグレコローマン69㎏級では銀メダルを獲得した。こうした輝かしい実績があるからこそ、永田はそこに向かう選手たちの熱い想いを知っている。

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