【体操】若手の成長で悲願の「団体金メダル」に視界良好 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi  photo by AFLO

 萱を指導する順天堂大の冨田洋之コーチは、「彼は本当に体操が大好きで、練習も最後の最後までやっている。その裏づけがあるから、大舞台でも力を出せたのだと思う」と、代表入りを果たせた要因を語った。さらに、「オールラウンダーとしても上位に入っていける力を持っているが、それにプラスして武器になる種目を持っているのが彼の強み」と評価している。

 一方、萱本人も、「自分は負けず嫌いなので、人に負けるのも、自分に負けるのも嫌。自分が決めたことは絶対にやりたい。それで練習量が増えて、いい方向に行っていると思う」と話す。あん馬で代表チームに入ったが、個人総合を狙うという気持ちも変わらない。「ゆかで内村さんに技術のアドバイスをしてもらい、それをやったらいい感じになった。代表選手は自分が持っていないものを持っている人が多いので、それを吸収しながら自分のいいところも人に伝えていきたい」と、初の代表入りを楽しんでいるようだ。

 そんな若手の力が試されたのが、7月31日から広島で開催されたアジア選手権だろう。エースの内村が種目別選手権で肩を痛めたため、大事をとって出場を取りやめた大会だったからだ。水鳥監督は、「各自がDスコア(※)を上げたりして、自分が世界選手権でやりたいと思うものを試してみる大会」と位置づけた。そして選手たちも全員が、「内村さんがいないからといって、負けるわけにはいかない」と高い意識を持って臨んだ。

※Dスコア=技の難度を得点化したもの。個々の技の難しさに応じて得点が加算されていく。

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