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アマで15冠! 御嶽海が大相撲の土俵に上がる3つの理由 (3ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Kyodo News

 注目のデビュー場所。7戦全勝なら史上初の一場所で十両昇進となる。初日こそ明生(立浪部屋)を寄り切りで破ったが、3日目の二番相撲で大翔鵬(追手風部屋)の肩透かしに敗れ、一場所で関取の可能性は低くなった。

 それでも、地元の上松町と木曽町では地元の住民が集まり、テレビ観戦する「応援会」を開催。ふるさとに誕生した期待の新星へ大きな声援を送った。自らの存在が早くも復興へ向かうふるさとを勇気づけているのだ。それだけにスピード出世には「意識していない。一日一番、自分の相撲を取れば結果は付いてくるはず」と着実に力をつけながら番付を上げることを考えている。

 プロ入りを決意した裏側には、もうひとつの後押しがある。それは、今をときめく遠藤(追手風部屋)の存在だ。2012年のアマチュア横綱で、過去に5回対戦し、2勝3敗と負け越している。実際に戦った相手が同じ幕下10枚目格付け出しでデビューし、飛ぶ鳥を落とす勢いで出世して、今や角界一の人気を持つまでに成長した。「大学で活躍した人が、大相撲でも活躍しているのは刺激になった。遠藤関ともやったことがあるので、刺激を受けた感じです」と打ち明ける。 
 
 10日目の5番相撲で宝香鵬(宮城野部屋)を倒し勝ち越しを決めた。5月場所はさらに番付を上げることになるが、遠藤との対戦が実現するには、幕内に昇進することが不可欠。出羽海部屋では普天王が、2009年9月場所を最後に十両へ陥落してから6年もの間、幕内力士が不在だ。部屋の再興へまずは幕内。そこで遠藤と火花を散らし、ふるさとへ元気と勇気と届ける――。新たなスタートを切った3月。御嶽海は、大きな志を抱いて土俵で戦い続ける。

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